[レポート] Alteryx&Tableau使いのメンバーによる激論!パネルディスカッション『セルフサービス BI の今までとこれから』 – Tableau Data Day Out 2019 #tableau

[レポート] Alteryx&Tableau使いのメンバーによる激論!パネルディスカッション『セルフサービス BI の今までとこれから』 – Tableau Data Day Out 2019 #tableau

Clock Icon2019.05.21

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2019年05月14日、ザ・プリンス パークタワー東京にてTableauの国内カンファレンスイベント『Tableau Data Day Out』が開催されました。

当エントリでは、イベントにてAlteryx Japanと弊社クラスメソッドの共同開催で執り行いましたパネルディスカッション『セルフサービス BI の今までとこれから』についてレポートしたいと思います。セッション情報公表タイミングが遅れてしまい後発発表の形となってしまいましたが、想像以上の早さであっという間に定員に達し、当日は御覧の様に大盛況・満員御礼状態となりました。

目次

 

セッション概要

当セッションの概要及び登壇者に関する情報は以下の通り。

概要:
セルフBIが国内でも普及期に入った現在、企業はさまざまな工夫を行ってその効果を引き出す努力をしています。また予測分析を業務プロセスへ取り込む等、セルフBI のその先の技術に取り組む企業も現れてきています。
本セッションでは、アルテリックス・ジャパンの並木氏をモデレータとして、Tableau 全社展開に成功したブリヂストンソフトウェア木村氏、Tableau を活用して顧客のコンサルティングを行っているマクロミル盛氏、数多くのオムニチャネル実現の支援実績を持つクラスメソッド濱野氏の3名が登壇し、今までのデータ分析・活用の挑戦と今後の展開についてパネルディスカッション形式で語っていただきます。

登壇者:
並木 正之氏(アルテリックス・ジャパン合同会社 副代表、テクノロジーエバンジェリスト)
濱野 幸介氏(クラスメソッド株式会社 執行役員)
木村 隆秀氏(ブリヂストンソフトウェア株式会社 デジタルイノベーション推進本部
       デジタルイノベーション推進部 データソリューション推進課 グループリーダー)
盛 良太氏(株式会社マクロミル ビジネスアナリティクス部データアーキテクトグループ グループ長)

 

セッションレポート

セッションのメインとなったディスカッションについて、会話を分かりやすくするために登壇者の名前を色分けして表示しています。またこの部分の表記については敬称略とさせて頂きます。(※会話内での呼び掛けについてはそのままとしました)

  • 並木氏:青
  • 濱野氏:緑
  • 木村氏:赤
  • 盛氏:オレンジ

 

登壇者自己紹介

並木:
皆さんこんにちは。このセッションではAlteryx、データ統合製品ですね、プラットフォームのAlteryxとクラスメソッド社の共催で進めさせて頂きます。『セルフサービスBIの今までとこれから』というタイトルです。
まず最初に我々4名ステージにおりますので、各パネリストの自己紹介を手短に行いたいと思います。内容が非常に盛り沢山なため、ちょっと駆け足になってしまうかも知れないですがご了承ください。
木村:
ブリヂストンソフトウェアの木村と申します。紹介文に載せた写真は数年前、江ノ島で撮ったものです。
盛:
株式会社マクロミルの盛と申します。木村さんが写真の話をされていたので私も。1年前に会社の外の庭で撮ったものです。
濱野:
クラスメソッド株式会社 濱野と申します。この写真はですね、実は当時お手伝いしていた良品計画様の撮影室にいた写真家の方にお願いして撮ってもらったものになります。その頃からこの写真をずっと使い続けている感じです。(クラスメソッドでの)執行役員をやる前はデータサイエンティスト業などをやっておりまして、今回のディスカッションではどちらかというとツッコミ役として参加させて頂こうと思います。


(※イベント内登壇者プロフィール及びディスカッション開催告知エントリにて紹介されていた各位の写真。
左から濱野氏、木村氏、盛氏、並木氏)

並木:
皆様、自己紹介ありがとうございます。濱野さんと私はそれこそもう、良品計画様のプロジェクトでお付き合いしてから、またクラスメソッドさんとも同じ時期からのお付き合いとなりますね。今日のディスカッションでは私も濱野さんと一緒に、ツッコミ役として参加したいと思います。
私の紹介も。Alteryx Japan合同会社 副代表 テクノロジーエバンジェリスト...長いですね(笑) こういった技術の説明をする仕事をしております。Tableau Japan設立時のメンバーでもあるので、今日こちらの会場に来たときには『懐かしいなぁ』という同窓会的な気持ちがこみ上げて来ました。

Alteryx&クラスメソッド協賛のセッションということなので、まずはAlteryxについての若干のお話をさせて頂ければと思います。本日当セッションにお越しの皆様、Alteryxを今実際に使っている...という方はどれくらいいらっしゃいますでしょうか?(挙手を促す→挙手した参加者の割合は1割程度)あ、少数ですね。良かったです、そうすると皆様は私どもの見込み客という事になりますね(笑)
Alteryxという製品、こちらは『データ準備』で有名ですね。実は歴史、非常に古いんです。現在は4600社を超えるお客様にご導入頂いております。で、どんなことをやっているか。1つはビジネスアナリストとデータエンジニアに力を与える『データ準備製品』です。基調講演でも話が挙がっていましたが、彼らはデータ準備に全体の8割の時間を費やしています。この部分を手助けする形ですね。

そしてもう1つ、Alteryx社としては急速に伸ばしている道があります。それがこちらの市民データサイエンティストを育成するための高度な分析、予測分析とか地理情報分析の部分です。データ準備をやって、可視化をやった。その先にあるけれども難しいな〜、手を出せないな、というところ、ちょうど手を出せるくらいの高度な分析が出来る。これをAlteryx製品の柱としています。


(※アルテリックス・ジャパン合同会社 並木氏)

並木:
一通り説明が済みましたので、早速今日の本題に入っていきましょう。
今日のテーマ。『BIツールのこれまでとこれから』なんですけれども、やっぱりデータ分析・活用の調整について現場で取り組まれた方からリアルな話を聞き出したいと思っています。今日登壇して頂いたブリヂストンソフトウェア木村様にはIT部門のお話、情報システム関連会社の立場からのお話を伺えればと思います。また、マクロミル盛様からは、分析担当としてのお話を伺いたいと思います。
本日、パネルディスカッションを行うにあたり、短い時間で内容の濃いお話をお届け出来るように、ある程度ストーリーについて我々登壇者一同、密に連絡を取り合いながら大枠・フレームワークを検討・整理しました。また、『3つのテーマ』について深掘りしていこうと考えています。
1つは『分析って、役に立ったんですか?』『どんな分析やったんですか?』という点。これ多分皆様の中でも大きな課題となっている部分かと思います。稟議を出す直前まで迷う部分かなとも思うんですね。結果を出さなければいけないですし。そして2つ目は『人』に関する話題、3つ目は『技術』に関する話題です。

 

IT部門からのお話(ブリヂストンソフトウェア株式会社 木村氏)

並木:
では『IT部門からのお話』という事で、木村様、お願い致します。
木村:
よろしくお願いします。
まず最初に、ブリヂストンソフトウェアの話をする前に、ブリヂストンについてお話をさせてください。
皆様御存知かと思いますが、ブリヂストンはタイヤ事業をやっておりまして、それ以外にも多角化事業というところにも取り組んでおります。タイヤ事業ですと、乗用車用のタイヤ、トラックやバスのタイヤ、航空機のタイヤ等を作っております。また多角化事業では、地震の揺れを軽減する免震ゴムや、コンベアベルト、身近なところですとサイクルやスポーツ、このようなところにも展開・生産・販売をしております。

ブリヂストンソフトウェアという会社、このブリヂストンを支える、ブリヂストングループ唯一の情報システム専門会社です。インフラの部分からネットワークに至るまでの保守運用等も手掛けています。システムの観点でいくと、企画/設計/試作/生産/保守といった縦軸:製造系のライン、また横軸でいうと調達/計画/販売まで、これはSCMのラインとも言ったりしますけども、ありとあらゆる運用保守を行っています。

私が所属している部署、デジタルイノベーション推進部というところで、デジタルトランスフォーメーション時代に対応した先進的な取り組みを実行するためにデータソリューション課、デジタルラボ課という2つの課で取り組みを行っています。クラウドやAIなど色々やっているんですけれども、お見せ出来るところの事例紹介として、『ブリヂストンオープン』というものを、ゴルフツアーの支援をしているんですけれども、もっと楽しんで頂くためのアプリの開発を行っております。その中でも私はデータエンジニアリングの部分を担当しておりまして、データの蓄積、整備、可視化といったところを、ユーザーニーズやシステム統制とのバランスを保ちながら色々なソリューションを評価・採用したりするということをやっています。

TableauとAlteryxをどういった形で使っているか、というところで言いますと、プロファイリング、クレンジング、インテグレーション、アウトプットというところで、それぞれAlteryxとTableau Prepを使い分けています。作業毎に分けると以下の様な形です。データの品質を上げるところ:外れ値除去、欠損値補正、こういったところはAlteryxが非常に強いところでして、重宝しています。
  • 1.データを調査する【→Alteryx】
  • 2.データの品質を上げる(外れ値除去、欠損補正、名寄せなど)【→Alteryx】
  • 3.データを結合する(社内データ・オープンデータ)【→Tableau Prep】
  • 4.見せる【→Tableau、Excel】

並木:
ありがとうございます。最初のテーマ、『どんな分析をやっているか』というのをお聞きしてみたいのですが、このプロジェクトって、どういう状況なんですか?
木村:
このプロジェクトは何年か継続して対応しているものなんですけれども、面白いプロジェクトでして、色々な社内データ、そしてオープンデータを掛け合わせるのに、Alteryxを使っています。
セルフBIを会社にどう取り組んでいったか...というところについてお話させて頂くと、うちの会社では分析の文化の醸成と定着を目的に置いていまして、推進の取り組みを進めていました。これまではEXCELでグラフを作る...というところが目的になっていることが多くて、そこからTableauを用いて、Vizを作って、どんどんとインサイトを得ていこう、そういうような文化を定着させていこう、ということをやっていました。
並木:
全社的に文化を醸成させていく、というプロジェクトだったんですね。この部分については、どうやって取り組んでいったら良いのか、順番とかもあると思うんですよね。トップダウンからとか、ボトムアップで、とか。ちなみにまだこれは取り組んでいる最中、完成形ではないという状況ですよね。
木村:
はい。会社の中にTableauを入れていく、というのはある程度出来てきたと思っています。そして、AlteryxとTableauを併用していく、これは今取り組んでいる最中ですね。分析に関しては、現場の方が使っていますが、使い方はピンキリでして、販売業務や現場に近い方というのは、やはり自分で分析をしているケースが多いですね。一方で製造、調達、SCM周りは出来たものを観る、という形になります。
並木:
先程の話では『EXCELの置き換え』というのも挙がっていましたが、現場でTableauやAlteryxを使って分析する事で生産性が向上する、というのはメリットになるんですかね?
木村:
やはりそこはあると思います。元々EXCELでデータをひたすらかき集めて、編集して、グラフを作っている、という業務を、Tableauを取り入れてシステム化することで圧倒的に人件費的なところは押さえられるようになりました。
並木:
なるほど。ちなみに濱野さん、システムの提案や構築を中心にされていたかと思うんですけれども、こういったITの投資を行う際、どういった効果を見込めるか、いった部分を稟議の際に提案されていますか?
濱野:
そこは何をターゲットにして提案していくかにも拠るかな、と思います。
特に営業の方などは『外回りしてナンボじゃ』みたいなところも結構あったりするので下手したら分析をこねくり回すというよりも、データを見てどう判断していくかというところに特化するケースの方が多いかと思います。なので、静的な帳票というよりも、静的+αくらいのものの方が好まれるし、多いかなという風に思います。
ミドルレベルの方々だと『何でこれ売れなかったんだっけ?』というようなことを分析するケースもあったりするので、部門長の方自身というよりも、部門長の手となるような方々がAlteryxやTableauといったツールを活用している、というケースは多いのかなと思います。
並木:
例えば、帳票で今やっているのを可視化する...のが第一歩、て感じですかね?
濱野:
ですね。その辺をまずは見えるようにする、というのは結構あるのかなと思います。
木村:
いま濱野さんの仰られたこと、まさしくその通りでして。
先程、システム化することによって人件費が下がるというお話をしましたけれども、製造のところでシステム化されていないものがあって、EXCELをかき集めて毎回作っていると間違いが起きることがあるんですね。システム化する事によって、そういう間違いが無くなっていく、One Numberという風に言ったらいいんですかね、"正しい数字"が見えてくるといったような、可視化という部分は達成出来ているのかなと。
濱野:
実際分析をやられている方々って、自分でこうEXCELとかだとマクロ組んで数字を出すんだけれども異なる数値を出してしまう、みたいなことがあるのかなとも思うんですけども...
木村:
その通りですね。EXCELのプロフェッショナルな方がかなりいらっしゃって、EXCELマスターみたいな方がいらっしゃるんですね。VLOOKUPを駆使してクリックする毎に計算を行って1分くらい何も動かない...とか、そういうものがあったりします。
濱野:
IT部門としては帳票とかレイアウト変えづらいですね(笑)
木村:
それもありますね(笑)
盛:
結構気になったんですけれども、僕、いわゆる中間管理職ってやつで、現場レベルでは『1つの数字を使って、皆が間違えなくなりました』というのは良いことなんですけれども、上の方たちに説明する時に、結局はコストの話になっちゃうんです。この辺りって、どう説明・説得いったら良いのでしょうか。
木村:
そこはTableau入れる方向性として2つあると思っていまして、1つは『皆で分析してくださいね』というもの、もう1つは『システム化してコストを下げましょう』というもの。最初から『コストを下げる』というのが明確になっているのであればTableauを導入してVizを作るところで説明はつくのかなぁと思います。
並木:
ツールをEXCEL(VLOOKUP)からTableauにすることで、データを結合することで業務が変わった、視点が色々増えたわけですね。
木村:
業務の方々は、VLOOKUPをものすごい使っていて、Tableauを見せると『このBIツール凄いね』と言うんですけれども、データソースのところを開いて、みんながVLOOKUPやっているところをデータソースの結合に変えるだけで、すごいっていうよりびっくりして声が出ない、それくらい驚いてくれるんですね。
今日せっかくなんでここを皆さんに伝えたいと思いまして、スライドで1ページ用意してきました。本日基調講演でも『データリテラシー』とか『データプリパレーション』といった単語が出てきていて、あぁまさしく、自分の考えていたことは間違えていなかったんだなぁ...という思いはありました。データプリパレーションの必要性の高まりは非常に強く感じているところで、盛さんと事前にお話した際もこの点で非常に共感したものがありましたね。

盛:
結合の話でいうと、AとBのデータを結合した際に『Aだけ』『Bだけ』みたいなのが漏れる場合があるんですが、こういうAlteryxやTableauといったツールを使うことでデータ結合に漏れが発生していることが、経験の無い人でも分かりやすいというのが嬉しいんですよね。
並木:
生産性を上げる、という意味だとデータ準備は必要不可欠ですね。また、先程結合(ジョイン)の話も出ましたが、Alteryxのようなツールを使うとそういった作業の経過、内容が設計図的に見えるという良さもありますね。
木村:
ここだけピンポイントで話をするとですね、Tableau Prepの方が良い機能を持っていてですね...Prepの方だと、結合した際に データがどういう状況で結合していて、どこが漏れているかといった部分の可視化が出来るようになっています。Aletryxだとまだそこまでの機能が無いかなーといったところですね。
並木:
見える、数字を確認する、それって現場でやっていることなのかなーと思うんですけれども、先程濱野さんがちょっと言われた、『原因の分析』をするところとか、更にその先、『予測していないこと』をやろうとしたとき、鍵になるのはやはり現場の人の"人間力"頼り、になる感じですかね? そこはなんかこう、予測モデルやAIでダァー、とか無いんですかね?要は...現場で行き詰まっちゃうような感じがしたんですよ。
木村:
僕の担当している案件では、今のところAIとか予測までは正直まだ入り込めていないですね。分析や機械学習とか、今後はそういったところに繋げて行きたいとは思うんですけれども、行けていない状況です。
並木:
なるほど、ありがとうございます。
まとめます。ここでキーとなるのは『生産性の向上』でしたね。Tableauを用いてまずは可視化のためのハードルを取っ払い、生産性の向上に繋げて行く、これが重要ということですね。また、データがちゃんと分かっていないと危ないところとかも、TableauやAlteryxといったBIツールを"転ばぬ先の杖"として備えておいた方がよいということですね。

 

分析担当からのお話(株式会社マクロミル 盛氏)

並木:
続いては分析担当からのお話、マクロミル盛様の方からお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
盛:
よろしくお願いします。
まずは会社の紹介から。マクロミルという会社、市場調査会社です。特に業界内でもネットリサーチに強みを持っている会社です。

盛:
これから話をして行くわけですが、僕の担当している業務の話をしたいと思います。
ビジネスアナリティクス部というところに所属していまして所謂『ビジネスアナリスト』を抱えている部門にいます。その中で2つグループがあり、データ分析結果をビジネスに使っていくための大きな2つのフェーズを支える形でグループを構成している体制となっています。図の左側、データコンサルティンググループというのが、データから知見を得てビジネスのどこに活用していくか、定義付けていくところを仕事としています。なので、具体的な納品物は「分析結果報告書」のようなものになっていて、こういう分析をしたらこういう知見が得られますよ、というのをお客様に報告する業務を行っています。
ただそれだけだと実際にPDCAを回していく際、報告書を毎月更新していく訳にもいかないので、ダッシュボードの構築であったりとか、会議体で使うものであれば5分程度で把握できるものを、また現場の方が使う用にはもうちょっとインタラクティブで深掘りできるものを用意して、お客様の業務を分解してあげながらアウトプットを作っていくようなところで、右側のアーキテクトグループがあります。
僕は右側のグループのグループ長をしていまして、主にAlteryxとTableauを使って業務を行っている形になります。

そして、どの様にAlteryxを使っているかというと、我々の業務では調査を元にデータが落ちてくるような形になっています。うちのリサーチャーとお客様が一緒になって調査票を作成し、アンケートを消費者に投げる。回答結果がデータレイクに溜まり、データウェアハウスに一次加工された形で落ちてくる...というところまでが自動連携されています。
Alteryxは"その先"で使っています。汎用的に落ちてきたデータウェアハウスのデータと、別途お客様からお預かりしているデータをブレンディングするところに、まさにAlteryxを活用している形ですね。また、お客様毎にカスタマイズしたデータマートを作成するところにも使っています。Tableauを使われている皆様だと実感があるかなと思うんですけれども、「Tableauでこのダッシュボードを作るために、こういうデータを使いたいのでそのデータを作成するため」であったり、また「分析モデルの結果を返す」ところにAlteryxを使っています。
結果はTableau Serverにパブリッシュするだけではなく、もうちょっと、EXCELの帳票ベースのデータをメールでばら撒いたり、お客様のDMP環境にデータソースを流すのに、Alteryxから各データベースに連携させるのに使っています。

並木:
事例について教えてください。
盛:
はい。事例については大きく3つ、挙げたんですけれども、マクロミル全体で言うとマーケティング部門の方がお客様の大半を占めている形になるんですけれども、結構このおしごと、マクロミルでやっていると、一番上のものが非常に多いですね。従業員の方に満足度調査を行い、会社としてどこを改善すべきなのかみたいなテーマが非常に多いなーと感じています。
これは、閲覧者が多いというのも要因の一つとしてあると思うんですけれども、マネージャーの方たちにダッシュボードをばら撒いて、マネージャーの方たちは自分の部署の結果を見てコミュニケーションを取りたい、みたいなところを期待しているんだと思うんです。既存のEXCELやパワポだと部署ごとにレポートを書いていると、そこに対してスピード感が追い付かなすぎるので、おそらくはこういったダッシュボードの形で提供するのが好まれる、多いのかなと思っています。
並木:
挙げていただいたその他のものについても、これ、対象とするところも、また頻度も全然違いますよね。
盛:
一番上(事例1:従業員満足度調査)は年に1回の頻度です。
2つ目(事例2:新商品上市前検証)については、新商品を出す前に、「上市前の検証」というのは良く調査会社ではやっているんですね。パッケージ案を3つ作りましたけどもどれが一番良いですか?というのを消費者に投げて返してくると。この業務、非常にスピードが早くてですね、新商品に対して多いときは20回くらいパッケージテストを繰り返していく事になります。早く結果を得て次の判断をしてパッケージを改善していく、というようなことをしていくので、ダッシュボードを素早く更新していくというところが求められます。これも非常に多いケースですね。
3つ目(事例3:メーカー営業支援データ)については、メーカーの営業様の支援データ、という形のものになります。営業先、私達は特にメーカーのお客様が非常に多いのでメーカーの営業の方が営業先や店舗になってくると思うんですけれども、店舗が抱えている課題だとかをメーカー様のほうで抑えておいて、営業先に向かったり、話を作っていく時のベースとなる資料として使ってもらっている形です。

並木:
分析がテーマになってきたので突っ込み甲斐が出てきましたが、分析をメインにされているビジネスですから、対象・頻度・内容がそれぞれ異なるけれども、基本的には「現状どうなっているのか」、それから「報告」ですかね。そこがメインになるわけですね。
ちなみに濱野さん、この辺りは濱野さんがご支援された会社などでも、同じ様に、分析会社の方に依頼して...という流れだったりしたんですかね?
濱野:
同じようなことはありましたね。ただ自社のデータが豊富にあった状況が多かったので、その部分はちょっと状況が異なるかも知れません。やっている内容は似ているものがあるかなと思います。
商品の分析とかだと「こんな感じじゃないかな~」と仮説を持っていても、結果が違っていたりするので、都市伝説を潰すかの如く仮説検証をやるというのはあります。先程データレイクとマートの話も出ましたが、データレイクだけだとどうしても汎用的なものになりすぎちゃって、自分が担当している商品の欲しい情報が無かったりするので、そこから加工して、でも部署の中ではそれらを共有するみたいなやり方というのは欲しいなぁと思います。
並木:
それこそ盛さんのところのようなコンサルティング会社にお願いしたり、自社の中でそういうことをやったりするんですか?
濱野:
そうですね。モノにも拠るんですけど、自分たちだけでもやりきれないので、お願いすることは結構多いなぁとは思います。
並木:
今のお話までを聞いていると、すでに出来上がっている・完成している、成功しているようにも聞こえますが、そういった状況に、割とサクッと到達出来たりするものなのですかね?
濱野:
その辺り、私もお二人に聞いてみたいと思うんですけども。
実際これやろうと思うと、誰かが一人旗を振ってはいるんだけれども、誰も他に旗を振っていないという状況、結構あるんじゃないかなと思うんですよね。この状態に至るまでに結構掛かってるんじゃないかなというのもありますし。
盛:
仰る通りです。僕たちに依頼を頂くお客様一人がやる気になっていて、その先の話、全社に浸透しないというか、もっと悪いと複数名の方が出てきて、皆さんそれぞれ別の思惑を持ってそのプロジェクトを進めてらっしゃる...みたいなケースも多いので非常にその辺の意見整理だとか、どうやって「全社の方々に使ってもらいましょう」的なところに、分析の実業務よりももっと多くの時間を掛けていると思います。
木村:
"使ってもらう"という意味でいうと、IT運用の立場としてはヘルプデスクのようなものを入れて使う人に対して困ったことがあったらすぐ回答するみたいなサポートをしています。
濱野:
具体的に教育などはやられているんですか?
木村:
勉強会を週一くらいでやっています。毎回10人弱ですけれども、毎回満席な状況で継続しています。


(※ディスカッションに臨む面々。左から濱野氏、木村氏、盛氏)

並木:
こういったお仕事って、"現状を確認する"からスタートするじゃないですか。私の方から質問を投げ掛けたいところって、分析で言うとそれって確認するところだから、基礎のキ、ですよね。
そこから先のキーワードで出ていた「仮説」。仮説を立てるための何らかのフレームワークだとかそれこそ人材育成、こういった部分についてはすぐに出来る・整うもんなんでしょうか?
盛:
結構難しいなと思います。
僕たちは教育の際、、良くあるフレームワークとかは最初に座学等で教えていますけれども、その先は過去実践したプロジェクトを「先輩がお客様」だと思って新人に"模擬案件"としてやらせている、というのをやっています。出来る出来ないはまばらだったりするので、ここはホント、実プロジェクトをやりながら出来るようになってもらうしかないかなと思ってます。
木村:
僕らのところではユーザー様に対しては先程話したような勉強会等を通じて教育したりするんですけれども、内部の要員育成というところについては本当、困っていまして、最初は取り敢えず「手を動かしてやってみよう」という形で半ば手探りな状況でした。最近では、Tableauユーザー会で本を出してくれたりとか、そういうのを読んで勉強してね、とか次第に教育しやすい体制は整って来たんですけれども、教育カリキュラム的なところは作れていないかなぁ、というところですね。
並木:
『これまでとこれから』の後者、"これから"についてお聞きしてみたいことがあるですけれども、可視化を行って「...だから何?」的なものって、思ったりすることってないでしょうか? 私もこれまでの経験で、お客様からお聞きしていたものをまずは見える化、そこから先暫くすると「...で、何か物足りないね」という会話になると思うんですね。その辺、濱野さんどうですかね?
濱野:
結構やっぱりあの、小売とかはそうなんですけれども、実際分析したデータを出してみると「初めて出した数字を知っている」というケースもあったりするんですね。
僕のお師匠さんが「I knowシンドローム」という風に言ってたんですけど、「あ、これ知ってるわ」みたいな形で新しく出した分析のはずなのに知っている、何で知っているんですか?と聞くと「現場に居たから分かる」と。そういうのは結構あったりします。

実は何か、そういうのってやればやるほど、都市伝説的なものは消し込まれていくんだけれども仮説を出そうと思うと、難しいよね...となるケースが多いように思います。
アプローチとしては2つあって、1つはもう単純に色々な都市伝説、兎にも角にも潰し込んでいく。100本ノックみたいな形にして、自分たちの中の仮説をどんどんレベルアップさせていく。そしてもう1つ、フレームワークはフレームワークでしかないので、切り口の鋭さみたいなものを含めて外部の知見のある人に来て頂き、立ち上げのところ、ブートキャンプみたいにやって頂く。社内組織に出来るだけ、そういう分かっている人を作り上げていく。というものです。
並木:
なるほど、見えるところからその先、次の一手というのは、分析の、更に高度な分析に入ろうとしたときには仮説力、仮説力を鍛えるためには「ひと」が重要になるところですね。 100本ノック、本数は1000本、いや、1万本?(笑)
濱野:
何本でも。でも当たるのは少ないです(笑)
並木:
もう1つは分析のプロにファシリテーションして頂いて、現場の人達がしっくり来るようなところまで引っ張っていってもらう、そんな感じですかね。
濱野:
そうですね。アプローチとしてはそれかなと、今の時点では思っています。
並木:
ちょっと1回サマりますね。
高度な分析を駆使して色々な業務において、導入すると課題も見えてくるんだけれども、ひと段落「踊り場」的なものがやっぱり生まれている、1つは生産性のところで引っ掛かっている。皆が使い始めるからこそ、またデータの準備をしなくちゃいけない、ダッシュボードを作らなければいけない、そんな壁が出てきますよね。
で、2つ目、そこから先の情報に行くのに、いつも見ているものばかり見えていると、仮説力がなかなか生まれてこない。そこをブレイクスルーするためには、何が必要なのか。というところですよね。
多分今日いらっしゃってる、Tableauを既に導入されている皆さん。もしくはこれからTableau導入を検討されている皆さんも、色々な課題があってそれに対して実践されていることと思います。または何人かの方々は所謂「踊り場」に達してしまっている人が居るかも知れません。
期待通りのところまで行ったんだけれども、ここまでかな...?とかこの次どうしたらブレイクスルーするのかな、とかだと思います。今日の御三方のお話で、TableauセルフBIを導入していくところのチャレンジはある程度皆さんにもしっくりくるところだと思います。

 

Alteryx プロダクトロードマップの(一部)紹介
(アルテリックス・ジャパン合同会社 並木氏)

並木:
期待していたところはここまでで達成できた、ではその先の話、どうすればブレイクスルー出来るのか。私は現在Alteryx Japan、元はTableauもやってましたので、ベンダーとしての立場で皆様がどう使っているのか、特にTableauユーザーがどう使っているのか、たっぷりリサーチしてます。研究開発、投資もしています。そんな視点から、『課題』を3つ挙げてみました。

まずは1つ目、共通の課題。この「データ準備の効率化」についてはこれまでも議論してきたようにその通り!な内容だと思います。2つ目の課題は現場での分析の課題、予測や自動化の仕組み、効率化ですね。1個先の、もう1個先の「なるほど」と来るような分析を提示出来る仕組み、ここは出来れば自動化してしまいたい。そして3つ目の課題となる分析の現場での課題。ファシリテーション力や現場力、仮説力といったスキルを備えている人材が不足しているという点。これらの課題をどうやって補って、乗り越えていけばその一歩先に行けるのだろうか...と思うんです。
 
 
こういった課題に対して、我々Alteryxでは製品ベンダーとして、プロダクトロードマップを作って解決をサポートしていこうとしています。
時間が限られているのでピックアップしてお伝えしたいと思いますが、現状世の中の私達が見ている視点、2015年段階でビジネスユーザーと極少数のデータサイエンティスト、そしてその間にいるのが「EXCELやAccess、SQLを駆使して分析を行っている」人達です。この人達が一生懸命なって分析をされています。
これが2025年にはビジネスユーザー層も若干多くなるんですが、それよりもちょうどそこのEXCEL/Access/SQLを使っているユーザー達がシチズンデータサイエンティストに置き換わっていく未来を私達は考えています。データサイエンティストも増えるんですけれども、そこまで急には増えないです。赤の部分、この人達、黒から赤に人を転換する事が出来ると、皆が欲しがっているような「可視化のスピードアップを行う、分析が出来る」人材が作れるんじゃないかな、という気がするんです。

 

スマートなデータプロファイリング

並木:
ここからは今後予定しているAlteryxの新機能を幾つかご紹介したいと思います。まずは『スマートなデータプロファイリング』。例えば、データの中身を確認する。これは謂わば「転ばぬ先の杖」ですよね。間違ったデータを使って分析してしまったらアウトなので、プロファイリングの機能を強化して行きます。

 

スマートデータプロセッシング

並木:
データサイエンスの方達だったらピンと来るかも知れませんが最近データレイクを使ったり、機械学習やると、データベースの中だけじゃないんですよね。Spark層を使ってデータを動かしたり、巨大なデータを処理したものを集計取ってDWHに入れてマートに入れて...みたいな。要は手元のPCだけじゃなくてクラウドとかあちこちの環境を使わなければいけない、という状況です。
それをデータ連携でこう、これ左から右に綺麗に流れていて、データ準備ツールとしては大概こうなんですけれども、これ「良し」に見えるんですけれども、その裏でどこの環境で動いているのかって気を付けないと巨大なデータが行ったり来たりしちゃって動かないんですよね。
そこでこの『スマートデータプロセッシング』です。実際に動く場所のエンジンを切り替えてクラウド上で動かす、ローカルで動かす、というのを動的に変えられる仕組み、というのを開発ロードマップに入れています。

 

支援付きモデル作成

並木:
要はウィザードです。高度な分析を、例えば予測分析をやりたい、となったときに質問に答えていくとある程度出来てしまうものですね。これ、盛さんのところの仕事、大変なことになってしまいますね(笑)
盛:
本当ですよね。どうしようかなと(笑)

 

インタラクティブな結果グリッド

並木:
こちらは木村さんのところに向いているのかなと思うんですけれども、画面で『ジョインした結果が上手く見えない』というのがありましたよね。データ準備、フィルタしたりとか、値を変えたりとか。結果をAlteryxの中で確認出来るようになります。確認した結果を、今やった作業をアイコンとして追加していく、みたいな事が出来るようになります。

木村:
Tableau Prepのインタラクティブ性の部分は凄いなーと見てましたが、そこにAlteryxも迫ってきたのかな、という感じがしますね。これは非常に気になります...!

 

Alteryx Designer Express(Web版Alteryx Designer)

並木:
これはWebブラウザの画面のイメージですが、今日分析の方、現場の方実際のマートを使う方それぞれに高度な分析ツール使ったりするだけだとやはりこう、スムーズに普及させて行くのは難しいじゃないですか。
これから将来出そうと思っているものは、Webブラウザベースで動くAlteryx、『Designer Express』です。見た感じ、TableauのWeb編集画面にも似ているんですけれども、あんな感じです。ブラウザの中でデータ準備のフローが作れます。

盛:
いままでなかなか皆で使えなかったんで、これは良いですね〜。お値段の方が安ければ是非...!(笑)
並木:
こういった、私達の製品ベンダーとして皆様のご要望、お悩みといったところを聞いてきて、今日お見せしたのはごく一部だったんですけれども、響くところがあったんじゃないかなぁと思います。とはいえ、こういった新機能は現場で使って磨かれていかないといけないと思っています。なので、今日ご参加の皆様、課題を解決するために是非Alteryxを試してみて頂いて、フィードバックを頂ければと思います。
少々時間がオーバーしてしまいましたが、これで私達のセッションを終わります。登壇者の皆様にもう一度、温かい拍手をお願いします。ありがとうございました。

 

まとめ

という訳でTableau Data Day Out 2019、パネルディスカッション『セルフサービス BI の今までとこれから』の開催レポートでした。ほぼ完全文字起こしとなった当セッション(総文字数:15000字オーバー)、それぞれの立場で『なるほど』と思える様々な意見・知見を聞くことが出来て非常に興味深い内容となっていたのではと思います。40分のセッション時間では収まりきらないボリュームや深い内容がまだまだあるような気がして、もっと様々な切り口やテーマで話を聞いてみたいなとスタッフ一同思った次第でした。登壇頂いた皆様、また当セッションにご参加頂いた皆様、ありがとうございました!


(※セッション終了後の一枚。左から盛氏、木村氏、濱野氏、並木氏)

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